窒素(N)
窒素が欠乏すると、葉は大きくならず、茎は細く、全体に生育が悪くなります。
また、光合成による炭水化合物を原料にした窒素の生合成が進まないため、植物の生理現象に影響を与えます。
窒素が欠乏すると、葉は大きくならず、茎は細く、全体に生育が悪くなります。
【窒素欠乏の症状】
・葉が小形で、上部の葉が極端に小さくなります。
・下葉から上の葉に向かって黄化していきます。黄化は葉脈間からはじまり、葉全面に進行します。
・果実の場合、着果数が少なくなりますが、比較的早いうちに肥大します。
リン酸(P)
全般に、リン酸の欠乏は生育の初期、また低温期に発生しやすく、生育速度が遅くなり、作物全体が硬化した感じになります。
リン酸が欠乏すると、植物は一般に紫がかった青緑色になります。
リン酸欠乏土壌では初期の根の伸長にリン酸施用が大きな効果を持っています。
【リン酸欠乏の症状】
・比較的若い時期に、下葉が緑紫色になり、しだいに、上位葉に進んでいきます。
・葉は小形で光沢がなくなり、さらに赤紫色になります。
・着花数が少なくなります。また、果実は小形で成熟が遅れ、収穫量が低くなります。
カリウム(K)
カリウムが欠乏すると、植物の成熟は遅れ、低温害や病害を受けやすくなります。
【カリウム欠乏の症状】
・生育の比較的初期に、葉の縁から葉肉部に向かってクロロシス(黄褐色に変化する症状)が発生し、額縁状になります。
・生育の最盛期に中位葉付近の葉の先端から褐色に変化し、やがて葉が枯死することもあります。
・葉色が異常に黒ずみ、硬化します。
・果実の場合、肥大が遅れるか不良となり、形もやや角張り、色づきが不均一となります。 欠乏がはなはだしい場合は、下葉の枯死、落葉が目立つようになります。
カルシウム(Ca)
カルシウムは、植物の細胞分裂組織の生長、
特に根の先端や新芽の発育のために不可欠のものであり、欠乏すると植物の生長点に障害が現われます。
症状は生長点の生育停止により発生することが多くなります。
下葉は正常でも上方の葉が異常であったり、葉全体が硬化したりします。
トマトなどの果実ではしり腐れ果が発生することがあります。
【カルシウム欠乏の症状】
・植物全体が萎縮します。若い芽が小形になり、黄化します。
・生長点に近い、若い葉の周縁部が褐色となり、一部は枯死します。
・果実の花つきの部分が黒くなります。
マグネシウム(Mg)
マグネシウムはカリウムよりやや流失しやすい性質です。
一般にクロロシスは下葉から現れますが、トマトなどの果実野菜の場合、肥大最盛期に果実に近い葉に現れます。
はじめに葉脈間が黄化してくる場合と、黄褐色に変化してくる場合とがあります。
多くは1枚の葉の中央に近い部分に現れ、徐々に葉全面に広がりますが、ときに葉の縁に緑が残ることもあります。
クロロシスが進行して、末期には一部ネクロシス(細胞が死んでから現れる褐色斑)が発生します。
果実には特に症状は現れませんが、食味に影響を及ぼすこともあります。
【マグネシウム欠乏の症状】
・下葉の葉脈の間が黄色に変色、ひどい場合は黄褐色になり枯死する。
・中葉には葉緑素欠乏症が見られる。
・上葉や子実、新葉には欠乏症状は出ません。
・開花初期に、下葉にクロロシスが発生します。
・葉脈間にぼやけた黄化が起こり、徐々に上位葉に及びます。
・生育後期になって全葉が葉脈だけをのこして黄化します。
イオウ(S)
イオウが欠乏しても、植物全体の生育にあまり異常は認められないとされていますが、中~上位葉の葉は下位葉よりも色が淡く、はなはだしいときは淡黄色になります。
これは、イオウの体内移行性が小さいために起こる現象です。
下位葉は健全なのがイオウ欠乏の特徴です。